【薬剤師が分かりやすく解説】AGA ガイドライン ~疫学編~

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それでは早速始めていきます。

今回の内容ですが、AGAについての疫学をご紹介します。

そもそも疫学とは「明確に規定された人間集団の中で出現する健康関連のいろいろな事象の頻度と分布およびそれらに影響を与える要因を明らかにして、健康関連の諸問題に対する有効な対策樹立に役立てるための科学」と定義されているみたいです。(引用:一般社団法人 日本疫学会)

要するに『どれくらいの人が罹るか?(割合)』、『どういう人が罹るか?(内因的要因)』、『発症に何が関係しているか?(外因的要因)』を突き詰めていくのが疫学です。

ですので今回は、

・AGA(薄毛)になる人の割合はどれくらい?

・AGAになりやすい人はどういう人?

・発症にはどういった外因的要因がかかわっているの?

ということを解説していこうと思います。

AGAになる人の割合

ガイドラインには『25 年前の本邦における男性型脱毛症の統計から,日本人男性の発症頻度は全年齢平均で約 30%と報告されている。この発症頻度は現在もほぼ同程度であり,20 代で約 10%,30 代で 20%,40 代で 30%,50代以降で 40 数%と年齢とともに高くなる』と書かれています。

年齢関係なしだと3人に1人】、【50代以降で2人に1人弱】なかなかの数ですね!!

海外を見てみると、

1位チェコ(42.79%)、2位スペイン(42.60%)、ドイツ(41.24%)、4位フランス(39.24%)、5位イギリス(39.23%)、6位アメリカ(37.42%) ということで欧米は日本よりかなり多いことが分かりました。

このデータは、アデランスさんが調査したものだそうで、薄毛の基準は『生え際の後退』、『側頭部やつむじ周辺の毛量の減少』が明らかに確認できるレベルであることだったみたいです。

ボヤキですが、欧米の人はなぜあんなに薄毛が似合うんでしょうか?わかる人がいましたら教えてください(笑)

AGAになりやすい人

ガイドラインには『男性型脱毛症の発症には遺伝と男性ホルモンが関与するが、遺伝的背景としては X 染色体上に存在する男性ホルモンレセプター遺伝子の多型や常染色体の 17q21 や20p11 に疾患関連遺伝子の存在が知られている』と書かれています。

簡単にまとめると、『遺伝的な部分』と『男性ホルモン』があると言うことです。

ガイドラインの文言の後半部分は『遺伝的な部分』の解説を詳しく書いています。

X染色体というのは性染色体の1つです(もう1種類はY染色体)。

人はお父さんとお母さんから1本ずつ染色体を貰います。

その組み合わせが、(X,X)だと女性に、(X,Y)だと男性に生まれてきます。

組み合わせを考えてみますと、男性の性染色体は『X:お母さん由来』、『Y:お父さん由来』でしか存在しえません。

ガイドラインにX染色体の異常が薄毛の原因と書いてあります。

よく、『母方の祖父が薄毛だと自分も薄毛になる可能性が高い』と聞きませんか?今回調べて知りましたが、その理由はご紹介したX染色体の異常(母方の遺伝)につながっているみたいです。

男性ホルモンの関与は、皆さんご存じの通りかと思います。今後紹介していく薬についても男性ホルモンに関係するような薬が何種類かありますので、その際に解説したいと思います。

発症に関する外因的要因

外因的要因に関してはガイドラインには詳しく書いてありませんでしたので、別口で調べて書こうと思います。

1つの疾患と因果関係を証明するのは、なかなか大変なことです。

ですので、『各サイトで共通して書いてあること』かつ『私がその根拠に納得いくこと』を選んで書きたいと思います。

※調べてみてわかりましたが、薄毛についてのサイトは『薄毛予防』や『薄毛治療』に関する薬やサプリメントなどを製造しているメーカーが作成していることが多いです。当然凄く分かりやすいですし、見やすいです。僕もこの記事を書くのに参考にしています。ですが、各社製品につながる要因を強調して書いてあることが多いので、客観性は少ないと思います。何が正しいか、取捨選択して活用した方が良いです。

① ストレス

これは一般的に言われていますよね。ただ、言われてみると理由が分かりませんでした。調べてみたところ、『血流』が答えのようです。

ストレスが溜まってイライラすると交感神経が優位になります。⇒ 交感神経が優位になると血管が収縮します。⇒ 血管が収縮すると血流量が減ります。⇒ 血流量が減ると血液が頭皮に送る栄養が減りますので髪が抜ける。

というような悪循環が生まれます。

② 食事の偏り

栄養が偏ることによる脱毛も考えられます。

前回お話ししましたが、医療の世界では『AGA』は『他の疾患』と比べて重要視されていません。

それは私たちの体も同じことで、低栄養の状態が続いたら生命維持に必要なところに栄養を送ります

栄養バランスが悪くなると、爪とか皮膚に影響が出ないですか?これは目に見えて気づきやすい変化なので直ぐに感じ取れます。髪は本数が多いので見た目では分かりにくいですが同じような変化が起きていると思います。

③ 喫煙

考え方はストレスに似ていて、『血流』が原因のようです。

煙草に含まれるニコチンは血管を収縮する作用を持っています。

そのため、前記のように血流量が低下し脱毛に繋がると考えられます。

④ 睡眠不足

これは睡眠時にでるホルモンが原因だと言われています。

髪の成長には『成長ホルモン』というホルモンがかかわっています。

成長ホルモンは寝ている時に多く放出されます。ですので、睡眠不足の方は分泌が少なくなります。

睡眠不足の方は成長ホルモン分泌が少ないので、髪が育ちにくい環境になってしまう。というカラクリです。

⑤ 頭皮に合っていないヘアケア商品

頭皮に合っていないヘアケア用品を使用すると、『炎症を起こしたり』、『乾燥したり』します。

それが痒くなって掻いて悪化するというループは想像にたやすいと思います。

髪は良く農作物に例えられますが、上記のような不毛地には根は生えず花も咲かないという事でしょう。

以上が今回の内容となります。

AGAについての『疫学』について書いてみました。

特に、

・AGA(薄毛)になる人の割合はどれくらい?

・AGAになりやすい人はどういう人?

・発症にはどういった外因的要因がかかわっているの?

というところにフォーカスを当てて書いてみました。

次回は『病態』について書きたいと思います。

科学的に解説をしたつもりですが伝わりましたでしょうか?

何かお気づきの点やもっとこうして欲しいなどありましたらご意見いただけましたら嬉しいです。

どうぞよろしくお願いします。

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