それでは始めていきます。
今回はミノキシジル(外用)について書いていきます。
ガイドラインでも推奨度Aの薬剤ですので、しっかり理解していきましょう。
ミノキシジル(外用)は、水谷豊さんが出演されていたCM『リアップ』のことです。
それではいつものように表をお示しします。
一般名 | ミノキシジル |
商品名 | リアップ など 他多数 |
剤型 | 外用薬(塗り薬) |
使用方法 | 成人男性が1日2回、1回mlを脱毛している頭皮に塗布してください。 |
作用機序 | 血管拡張薬 |
副作用 | 皮膚症状、循環器症状、精神神経系 |
購入方法 | 薬局・薬店など |
ざっと、こんな感じです。
これまでのフィナステリドとデュタステリドとの違いは大きく3つあって、
① 外用薬(直接頭へ吹きかける)であること
② 作用機序が異なってい居ること
③ ドラックストアとかでもかえること
の違いが挙げられて、そこの部分についても各論でご紹介していきます。
ミノキシジルとは
日本では、1999年に一般用医薬品として大正製薬がリアップを発売。
海外では、1960年代に高血圧治療薬として用いられていました。
この時、経口剤で使用されており、その際に脱毛症を回復するような作用が診られたため、1980年代より脱毛症治療薬として発売されたようです。(海外)
1つポイントなのが、日本で承認されているのが外用薬(頭に直接塗布するタイプ)であることです。
ガイドラインの推奨も【外用】は推奨度A、【経口剤】は推奨度Dとなっています。
フィナステリド、デュタステリドと違い、ドラックストアなどでも購入できることもポイントです。
使用方法
具体的な用法用量は『成人男性(20歳以上)が、1日2回、1回1mLを脱毛している頭皮に塗布してください。』引用:リアップX5添付文書
少し疑問に思ったのは1mLをどうやって計量している?という事です。
調べてみると添付文書に下記のようなイラストが載っていました。
下に傾けると薬液が計量室に入り、その後プッシュすると計量室入った1mLが放出されるという仕組みみたいです。
もしご興味ありましたら添付文書も見てみて下さい。↓
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000037183.pdf
作用機序
結論から言うと、科学的なメカニズムは解明されていません。
一方で、使用した際に起こる現象としては、毛乳頭細胞の活性化が挙げられます。
ミノキシジルの力で毛乳頭細胞が活性化され、髪の成長サイクルが延長され、太く丈夫な髪が増えるという流れです。
成長サイクルについてこちらで解説しています。
効果
効果についてはAGAのガイドラインに沿って記載していきます。
ご紹介したいことは下記2点です。
① プラセボと比べて効果はあったか?
② ミノキシジルの濃度によって効果に違いはあるか?
です。それぞれ下に書いていきます。
① プラセボとの違い
924名の男性被験者を対象とした観察期間 24 週のシステマティック・レビューにおいて,2%ミノキシジル群ではプラセボ群に比べ,脱毛部の総毛髪数がベースラインより平均で 20.90 本(95%信頼区間 9.07~32.74)と有意に増加した。
とガイドラインに記載があります。
20本って少なっ!と思われる方がいらっしゃるかと思いますが、1cm²で診ていますので結構な量ですよね。
② 濃度による違い
ミノキシジルには2%と5%があります。
要するにボトル内の液中に何%ミノキシジルが入っているかを示しています。
この2つの濃度を比較する試験が行われており、ガイドラインには下記のように書かれています。
2%および 5%ミノキシジル液を比較したランダム化比較試験は 2 報あり,そのうち症例数が多い 393名の男性被験者を対象とした,観察期間 48 週までのランダム化比較試験において,脱毛部 1 cm²内の非軟毛(nonvellus hair)数のベースラインからの増加は,プラセボ群が平均 3.9 本,2%ミノキシジル群が平均 12.7本,5%ミノキシジル群が平均 18.6 本で,5%ミノキシジル群で他の 2 群に比し有意に(対プラセボ p<0.001,対 2% p=0.025)増加した。
と記載があり、2%より5%の方が高い効果が得られている事が分かります。
そのため、ガイドラインにも男性型脱毛症には5%を推奨する文言が書かれています。
また、リアップの添付文書には『毛髪が成長するには時間がかかります。効果がわかるようになるまで少なくとも4ヵ月間、毎日使用してください。』と記載があり、すぐに効果出る薬剤ではないことを認識する必要があります。
副作用
外用薬ということで、命に関わるような副作用は非常に少ないです。
ここでは2つの副作用をご紹介します。
① 皮膚症状
ガイドラインには以下の記載があります。
『ミノキシジル外用による有害事象例で成分パッチテストまで行った例は非常に少ない。上述の 393 名の男性被験者を対象としたランダム化比較試験において,5%ミノキシジルで接触皮膚炎症状を呈した 10 名のうち,パッチテストまで施行したのは 3 名のみであり,うち 2 名は溶媒であるプロピレングリコールにも陽性を示した。』
上記の試験では、パッチテストは皮膚症状の原因物質を断定するために行っています。パッチテストを行った3例のうち2例は添加物であるプロピレングリコールが問題であったという事です。
医薬品は有効成分だけでできているわけではなく、色々な添加物が混ざってできています。そのため、副作用のすべてが有効成分から引き起こされているわけではありません。
外用剤なので、皮膚に症状が出る可能性はありますので、過去に『ほかの薬剤』や『スキンケア商品』で症状が出たことがある方は、ドラックストアに勤めている薬剤師に聞いてから購入をした方が良いですね。
② 初期脱毛
髪の成長を促す薬であるのに矛盾していますが、使用開始後初期に脱毛が見られることがあります。
ガイドラインには下記のように書かれています。
『男女ともにミノキシジル外用初期に休止期脱毛がみられることがあり,これが外用中止につながる恐れがあるため,患者への説明が必要である。』
理由を調べましたが、個人的に納得いくものはありませんでした。
イメージとしては、ミノキシジルはケアサイクルを活性化しますので、育たなくなった髪を新しい髪に生まれ返させる。そのため、ミノキシジルを使用し始めた時の育たなくなった髪が次第に抜けていくので初期脱毛が起こる。という理解のようです。
ここの部分については曖昧で申し訳ありません。
まとめ
ミノキシジル(外用)について解説をしてきました。
ポイントですが、
①外用薬(頭に直接塗布する)であること
②薬局・ドラックストアで購入可能であること
③ガイドラインでの推奨度がAであること(フィナステリド、デュタステリドと同様)
だと思います。
『正直、まだ病院に行く勇気がないな』とか『そこまで進行していないけど気になるな』と思っている方には、ドラックストアで推奨度が高い商品を購入可能ですので凄くお勧めです。
一方、いくら重篤な副作用が少ないからと言っても医薬品ですので、『購入にあたって不安がある場合』、『使ってみて副作用が出た場合』はお近くの薬局やドラックストアの薬剤師に相談をしてみて下さいね。
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